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臨床研究部

当院はわが国最大級の神経筋疾患医療の基幹施設ですが、診療内容をより一層充実させ、新たな診断・治療法の開拓を目指すため、診療のみならず研究にも力をおいています。臨床研究部では、宇多野病院の豊富な臨床症例を対象に、臨床に役立つエビデンスを創出し、患者さんに還元できるよう日々研究を続けています。

臨床研究部について

臨床研究部について

医師にとって最も大切な仕事は、患者さんの病状を把握し、適切な治療方針をたてて診療を行うことです。皆さんがイメージする医師の姿かと思います。しかし同時に医師には、目の前の患者さんのために、また未来の患者さんのためにより良い治療を提供するため、研究活動を行うという、研究者としての側面もあります。研究というと、細胞や動物を扱う実験を思い浮かべるかもしれませんが、もっと臨床応用に近い、言い換えれば、患者さんにすぐにも役に立つところを担う研究もあり、それを「臨床研究」と呼びます。1981年に設立された宇多野病院臨床研究部における臨床研究の歴史は古く、パーキンソン病、重症筋無力症、多発性硬化症などに関して多くの研究実績を上げてきました。

新たな治療薬の開発について

臨床研究の最も分かり易い例は、新薬の開発です。「治験」という言葉をご存じでしょうか。新しい薬剤が患者さんに使えるようになるには、基礎研究で候補薬を発見し、動物実験等で安全性を確認し、その後実際に患者さんに応用するという長い道のりが必要です。実際に患者さんに応用されるステップを「治験」といい、新薬の効果と安全性を科学的に最終検証します。患者さんはボランティアで参加していただきますが、新しい治療をいち早く試せるというメリットもあります。患者さんの安全と権利を守るため、GCP法令という治験に関する決まり事を厳格に守りながら、注意深く行います。臨床研究部では、開発企業の受託研究として治験を行っている他に、専門の医師がたくさんの患者さんを診療した経験をもとに、自ら計画した治験(「医師主導治験」といいます)も積極的に行っています。当院の治験の歴史は長く、早くから治験管理室を設けて専門の薬剤師と看護師を配置し、患者さんとともに多くの新薬を世に送りだしてきました。現在も、パーキンソン病、アルツハイマー病、視神経脊髄炎、多発性硬化症、脊髄小脳変性症、てんかんなどの神経疾患や、免疫・リウマチ性疾患、整形外科的疾患の治験に取り組んでいます。

→治験管理室

病態を知り、患者さんの問題解決に役立つための研究

宇多野病院が専門的に取り組んでいる神経筋疾患や免疫疾患の中には、未だ十分な治療法がない疾患や病態自体も十分に解明されていない病気が少なからずあります。また、治療薬が充実しているパーキンソン病などの疾患では、治療により機能予後も生命予後も大変良くなりましたが、その反面、長期の治療や病気の進行で患者さんに様々な合併症が起こることもわかってきました。宇多野病院臨床研究部では、このような問題に関して新しい科学的情報(エビデンス)を見出し、難病といわれる疾患の診療の発展に役立てることを目指しています。研究者は、まずどのような問題に注目するか(クリニカル-クエスチョン)を定め、どのようなアプローチでその問題を解析するか、研究計画を立てます。研究を開始する前には、研究計画書を宇多野病院生命倫理委員会に提出し、患者さんの安全や権利はきちんと守られるか、個人情報は守られるか、科学的意義はあるか、などについて審議されます。その後、病院長の許可を得て研究を開始します。臨床研究はいずれも、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づいて行われます。
臨床研究部には、各種測定機器を備えており、臨床検体(血液や髄液など)や病理検体を使用した実験や、薬物血中濃度の測定、遺伝子解析などを行っています。また、動物実験施設も保有し、神経疾患に関する電気生理学的な実験を行っています。

クリニカルリサーチフェロー制度について

宇多野病院臨床研究部では、臨床家として仕事をしながらも役に立つ研究をしたい、というやる気にあふれた若手医師のために、クリニカルリサーチフェローという制度を設けています。概ね後期専修医を終了した医師を対象とし、身分は宇多野病院常勤医師で臨床研究部の中に机を持ちます。年限は3年ですが、延長する場合もあります。クリニカルクエスチョンの選択から始まり、研究計画書の書き方、説明同意文書の作成、統計解析の手法などは、スタッフが丁寧に指導します。実際の研究は、フェロー自身が中心となり、他のフェロー、スタッフ、研究助手が協力してすすめていきます。データ収集後に統計解析し、その結果はまず定期的に開催するリサーチプログレスで発表します。ある程度結果がまとまれば、国内学会、国際学会で発表することができます。フェローたちは、毎年3つの国内学会といずれかの国際学会で自分の研究成果を発表しています。もちろん、その成果は逐次論文にまとめて国際誌に投稿します。成果論文で学位の取得も目指せます。
昨年まで4名のフェローが在籍し、研究活動を続けてきました。今年4月には、そのうちの2名が宇多野病院神経内科医長に昇任しました。

宇多野病院臨床研究部から発表した研究成果は以下のとおりです。

臨床研究部研究業績(原著論文、著書などから抜粋)

2015年

Oeda T, et al. Impact of glucocerebrosidase mutations on motor and nonmotor complications in Parkinson’s disease Neurobiol Aging. 2015;36(12):3306–3313.
Umemura A, et al. Baseline plasma C-reactive protein concentrations and motor prognosis in Parkinson disease PLoS One. 2015; 26;10(8):e0136722. doi:
10.1371/journal.pone.0136722.
Tomita S, et al. H. Impact of aspiration pneumonia on the clinical course of progressive supranuclear palsy: a retrospective cohort study PLoS One. 2015;
13;10(8):e0135823. doi: 10.1371/journal.pone.0135823.
Sawada H, et al. Baseline C-reactive protein levels and life prognosis in Parkinson disease PLoS One. 2015;10(7):e0134118. doi: 10.1371/journal.pone.0134118.
Kwiyoung Park, et al. A case of Alcoholic pellagra encephalopathy presenting with spinal myoclonus. Neurol Clin Pract December 2015; No6, 472-474
大江田知子、上原尚子、上田道夫 GBA遺伝子変異ヘテロキャリア・パーキンソン病 ダットスキャン®静注症例集2 2016 pp8-9 ダットスキャン®静注症例集2 監修 石井賢二

2014年

Umemura A, et al. Delirium and high fever are associated with subacute motor deterioration in Parkinson disease: a nested case-control study. PLoS One. 2014 Jun 2;9(6):e94944. doi: 10.1371/journal.pone.0094944. PLoS One. 2014 Jun 2;9(6):e94944. doi: 10.1371/journal.pone.0094944.
Umemura A, et al. Transient myoclonic state with asterixis presenting as persistent hyperperfusion on single-photon emission computed tomography: A case report. Neurol Clin Neurosci. 2014 Dec 18. doi: 10.1111/ncn3.154.
Park K, Tanaka K, Tanaka M: Uhthoffs phenomenon in multiple sclerosis and neuromyelitis optica. Eur. Neurol. 2014;72(3-4): 153-6, doi: 10.1159/000361045.Epub 2014 Aug.28

2013年

Oeda T, et al. Clinical factors associated with abnormal postures in Parkinson's disease. PLoS One. 2013 Sep19;8(9):e73547.
Sawada H, et al. Subclinical elevation of plasma C-reactive protein and illusions/hallucinations in subjects with Parkinson's disease: case-control study. PLoS One.
Sawada H,et al. Protocol for a randomized controlled trial: efficacy of donepezil against psychosis in Parkinson's disease (EDAP). BMJ Open. 2013 Sep 25;3(9):e003533.
Umemura A, et al. Diagnostic accuracy of apparent diffusion coefficient and 123I-metaiodobenzylguanidine for differentiation of multiple system atrophy and Parkinson's disease. PLoS One. 2013 Apr 17;8(4):e61066.
澤田秀幸、林隆太郎: パーキンソン病の画像診断 " <アクチュアル 脳・神経疾患の臨床>「パーキンソン病とMovement Disorders (中山書店)
澤田秀幸、大江田知子:Dopaの血中濃度を増大させる工夫について 日本医事新報 No 4664: 2013.9.14
澤田秀幸: Controversy [高尿酸血症には神経保護作用があるか?」Yes MDSJ Letters 6: 1-3, 2013 MDSJ letters (Movement Diorder Society of Japan 学会誌)ISSN 1883-1354
大江田知子、澤田秀幸:神経原線維変化型老年期認知症 pp758-761 認知症ハンドブック(医学書院) 認知症ハンドブック 医学書院 (2013年11月15日 第1版)
山本兼司:実地医家のための最新在宅医療実践ガイド パーキンソン病 Medical Practice, 2013, Vo.30, 274-277

学会発表、研究会発表など

2015年

Oeda T. Pharmacokinetic factors and levodopa-induced dyskinesia in Parkinson’s disease 19th International Congress of Parkinson’s Disease and Movement Disorders 2015, San Diego, CA, USA 2015.6.14-18
Park K. Emaciation and life prognosis in Parkinson’s disease 19th International Congress of Parkinson’s Disease and Movement Disorders 2015, San Diego, CA, USA 2015.6.16.14-18
Togo K. Spinal and bulbar muscular atrophy with dementia of frontal-lobe type 19st International Congress of Parkinson’s Disease and Movement Disorders 2015, San Diego, CA, USA 2015.6.14-18
K. Yamamoto. α-synuclein oligomers suppress spike firing by strengthening functional coupling of L-type calcium channel, SK-type potassium channel, and inositol trisphosphate receptor in neocortical pyramidal neurons Neuroscience 2015, Chicago, USA 2015.10.17-21
田口智之 Hyperkinesisを呈したFOSMN syndromeの一例 日本神経学会第103回近畿地方会 大阪 2015 2015.12.12
石原 稔也 幼虫移行症による脊髄炎を呈した回虫症の一例 日本神経学会第103回近畿地方会 大阪 2015 2015.12.12
冨田 聡 パーキンソン病患者の声量低下に対する呼気筋力強化訓練の有用性  第69回国立病院総合医学会 札幌 2015 2015.10.2-3
髙坂雅之 パーキンソン病における視覚誘発電位P100潜時と脳内アセチルコリン系 第69回国立病院総合医学会 札幌 2015 2015.10.2-3
梅村敦史 パーキンソン病の運動機能予後と非炎症期CRP値との関係 第69回国立病院総合医学会 札幌 2015 2015.10.2-3
上原尚子 肺腺癌に合併し、治療により改善をみた亜急性感覚性ニューロノパチーの一例 日本神経学会第102回近畿地方会 大阪 2015 2015.7.4
冨田聡 パーキンソン病患者における咳感受性低下と肺炎発症との関連性 第9回 パーキンソン病・運動障害疾患コングレス 東京 2015 2015.10.15-17
朴 貴瑛 パーキンソン病患者においてるい痩が生命予後に与える影響 第9回 パーキンソン病・運動障害疾患コングレス 東京 2015 2015.10.15-17
髙坂雅之 パーキンソン病の視覚誘発電位P100潜時延長にはアセチルコリンが関与している 第9回 パーキンソン病・運動障害疾患コングレス 東京 2015 2015.10.15-17
梅村敦史 パーキンソン病の運動機能予後と非炎症期CRP値との関係 第9回 パーキンソン病・運動障害疾患コングレス 東京 2015 2015.10.15-17
T Oeda Parmacokinetic factors and levodopa-induced dyskinesia in Parkinson disease 第56回日本神経学会学術大会 新潟 2015 2015.5.20-23
A Umemura Subclinical elevation of plasma CRP and motor prognosis in Parkinson disease 第56回日本神経学会学術大会 新潟 2015 2015.5.20-23
S Tomita Prediction of Aspiration Pneumonia using Videofluoroscopy in Parkinson disease 第56回日本神経学会学術大会 新潟 2015 2015.5.20-23
K Park  Emaciation and life prognosis in Parkinson disease 第56回日本神経学会学術大会 新潟 2015 2015.5.20-23
K Yamamoto alpha-synuclein oligomers enhance functional coupling of SK, VDCC and IP3R 第56回日本神経学会学術大会 新潟 2015 2015.5.20-23
髙坂雅之 パーキンソン病における視覚誘発電位の潜時延長とアセチルコリンとの関係 第56回日本神経学会学術大会 新潟 2015 2015.5.20-23
荻野智雄 ベッドサイド嚥下障害スクリーニング検査はパーキンソン病の肺炎発症を予測する 第56回日本神経学会学術大会 新潟 2015 2015.5.20-23
山本誠 パーキンソン病患者に対するLSVT BIG®の長期効果 第56回日本神経学会学術大会 新潟 2015 2015.5.20-23
田口智之 Hyperkinetic movement を呈した首下がりの1例 第104回京滋神経セミナー 京都 2015 2015.9.18
田原将行 パーキンソン病患者に対するLSVT®BIGの短期効果と長期効果 第52回日本リハビリテーション医学会学術集会 新潟 2015 2015.5.29
横山香保 薬剤師を対象とした感染予防に関する実態調査と勉強会の有用性 第63回日本化学療法学会総会 東京 2015 2015.6.4-6
飯高 玄 LSVT®LOUDにおける声の高さの単調さへの治療効果についての検討 第16回 日本言語聴覚学会 宮城 2015 2015.6.27
小國由紀 脊髄小脳変性症における肺炎発症リスクの検討 第16回 日本言語聴覚学会 宮城 2015 2015.6.27
山本兼司 αシヌクレインオリゴマーによる神経発火頻度抑制にはSKチャンネル・IP3受容体の機能連関が寄与する 第38回日本神経科学大会 2015.7.28-31
金原 晴香 パーキンソン病及び進行性核上性麻痺における嚥下障害に対する呼気筋トレーニングの有用性 第69回国立病院総合医学会 札幌 2015 2015.10.2-3
荻野智雄  LSVT LOUDの効果測定 ~音声学的な検討~ 第69回国立病院総合医学会 札幌 2015 2015.10.2-3
張 友香子 パーキンソン病患者のるい痩とエネルギー代謝 第69回国立病院総合医学会 札幌 2015 2015.10.2-3
飯高 玄 LSVT®LOUDにおける声の高さの単調さへの治療効果についての検討 第60回日本音声言語医学会総会・学術講演会 名古屋 2015 2015.10.15
村上紗奈美 胃瘻造設後も経口摂取を併用している長期経過パーキンソン病の一例:多職種と患者・家族の連携 第33回神経内科治療学会 名古屋 2015 2015.11.27
田原将行 コンカレントセッションⅤ RIN-1試験の進捗と安全管理 2015年度AMED6事業合同成果報告会 2016.2.12
朴 貴瑛 パーキンソン病の‘るい痩’と生命予後 第31回 日本静脈経腸栄養学会学術集会 福岡 2015 2016.2.24-25
張 友香子  パーキンソン病患者のエネルギー代謝 第31回 日本静脈経腸栄養学会学術集会 福岡 2015 2016.2.24-25
上原尚子 若年性認知症とL-dopa反応性パーキンソニズムを呈し、PSEN1遺伝子P88L変異を認めた一例 日本神経学会第104回近畿地方会 大阪 2016.3.6
大江田知子 ゴーシェ病とパーキンソン病 京都府医師会講演会 京都 2016 2016.3.17
田原将行 チーム医療としての医師主導治験 平成27年度治験・臨床研究研修会 京都 2016 2016.1.8
大江田知子 パーキンソン病 臨床からのエビデンス 浜大津パーキンソン病治療懇話会 滋賀 2015 2015.12.14
大江田知子 パーキンソン病の診断・病態と患者支援について、事例検討 京都府丹後保健所平成27年度難病患者支援従事者研修会 京都 2015 2015.11.20
大江田知子 パーキンソン病診療 UP-TO-DATE 宇治久世医師会講演会 7月25日 京都 2015 2015.7.25
大江田知子 パーキンソン病と感情障害 「抗うつ薬の使い方」研究会 京都 2015 2015.11.16
澤田 秀幸 DLBの運動症状に対する治療 アルツハイマー病研究会 第16回学術シンポジウム 東京 2015 2015.4.18
澤田 秀幸 パーキンソン病の突然死 日本自律神経学会 名古屋 2015 2015.10..24-25
澤田 秀幸 神経変性疾患と炎症について 京都府内科医師会 学術講演会 2016.3.16

当院の臨床研修システムについて
お問い合わせ先

京都市右京区鳴滝音戸山町8
国立病院機構宇多野病院 臨床研究部
臨床研究部長 大江田知子

電話 075(461)5121
FAX 075(464)0027

Mail:toeda@unh.hosp.go.jp

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