page top

外来予約へ
HOME>診療科・部門>診療科のご紹介>神経内科 主な対象疾患

脳神経内科

主な対象疾患

パーキンソン病

おもに中年以降の方に多く、何もしていないのに手が振るえたり、歩くときに前屈みになって、歩幅が狭く、手の振りがなくなり、顔の表情も硬くなるような病気です。症状が似ている別の病気もあるので、正しい診断を受けることが必要です。

現在では効果のある薬がたくさん開発されていますが、副作用もでやすく、使い分けには神経内科医の専門的な知識が必要です。当院からも作成委員会に参加し、全国統一の「パ-キンソン病治療ガイドライン(日本神経学会、2011年)」が作成されました。当院ではこのガイドラインを基本としながら、患者さん一人ひとりの病気の程度、生活での困り具合、治療の反応性などを総合的に検討し、最善の治療を目指しています。

関連情報
多発性硬化症

脳や脊髄が障害される病気です。目がぼやけるなどの視神経炎による視力障害で発症することが多く、病気の起こる場所により手足の脱力や感覚障害(しびれ感など)、あるいは物が二重に見える、しゃべりにくい、排尿障害(尿が出にくくなる、逆に尿の回数が増えて間に合わない)などの様々な症状が出ます。

この病気の特徴は、いったん出現した症状が時間の経過とともに軽くなる場合が多く、治ったと勘違いしていると別の症状が出るというように、再発と寛解を繰り返す経過をとることです。

神経同士の連絡を保っている神経線維をおおっているミエリンという膜が免疫異常により障害されるために起こります。

診断はMRI画像や髄液検査などの結果を総合して行いますので、専門医の診察が必要です。再発時にはステロイド点滴療法を行いますが、この病気の治療の基本は再発の予防です。現在はインターフェロンβ治療が主役ですが、当院では新しい予防薬の治験にも積極的に参加しています。

関連情報
片頭痛

片頭痛は頭の片側が痛むことが多い病気です(両側が痛む場合もあります)。片頭痛は、脈に合わせてズキンズキンとするような痛みがあります。また、頭痛発作の前に前兆と呼ばれる症状を伴う場合があります。とくに、稲妻のようなギザギザが見えたり、異常な感覚を体の片側に感じたりすることが多く、その後1時間以内に頭痛が始まります。

片頭痛には日常生活に支障が出るくらいの苦痛を伴うものがありますが、病気とは意識せずに長年にわたって我慢している方が少なくありません。片頭痛は女性に多く、成人の1割近くが持っていると考えられています。最近使用可能な片頭痛の治療薬が増えていますが、必ず医師の管理の下で服用することが大切です。

脊髄小脳変性症

ヒトの中枢神経系は大脳、小脳、脳幹、脊髄に分けられます。大脳は運動の指令を出す脳であり、小脳は運動がスムーズに出来るように調節し、バランスを保つために必要な働きをする脳です。脳幹はこれらの指令を脊髄に伝えたり、逆に脊髄から入ってきた情報を小脳、大脳に伝える働きを行います。

脊髄小脳変性症は、主に小脳や脳幹、脊髄が障害される病気であり、これらの部位では神経細胞が徐々に変性・脱落し、萎縮がおこります。

病 因

脊髄小脳変性症のうち遺伝性のものでは原因遺伝子が次々に発見され、多くは原因遺伝子内でシトシン(C)、アデニン(A)、グアニン(G)という3つの塩基を繰り返すCAGリピートが、異常に伸長することで発症することが明らかになっています。

:家族の中に似たような症状を持つ方がおられる場合には遺伝子診断も可能です。
患者さんおよびご家族の方の同意をいただいた上で、10ml程度採血させていただき、DNAを解析させていただく検査です。

現在当院では、脊髄小脳失調症1型、2型、6型、7型、マシャド・ジョセフ病、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)などの遺伝子診断が可能です。遺伝性(家族性)の場合、病型によって症状や治療法が少しずつ異なります。

症 状

歩くときにふらつく、言葉のリズムや声の大きさがまちまちで不明瞭になる、字を書いたり箸を使ったりすることがうまくできなくなる、眼球が細かくゆれて視点が定まらないといった運動失調症状(小脳症状)が主にみられます。

治 療

運動失調症状に有効である薬物には、注射薬の酒石酸プロチレリン(ヒルトニン)と経口薬のタルチレリン水和物(セレジスト)があります。しかし、その効果は目に見えて良くなるほどではなく、まだ対処療法の域を出ていません。従って、これらの薬剤に加えて、日常生活の中でのADL(日常生活動作)とQOL(生活の質)の向上を目指したリハビリテーションを進めることが大切です。

多系統萎縮症

多系統萎縮症とは、それぞれ異なった疾患として報告された、脊髄小脳変性症の中で最も数が多く代表的な疾患であるオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA、薬剤抵抗性のパーキンソン症状を主体とする線条体黒質変性症(SND)、自律神経症状が前景に立つシャイ・ドレーガー症候群(SDS)を包括した疾患概念です。
いずれも孤発性(遺伝性のない)の疾患であり、病理学的には同一疾患であることが証明されています。

病 因

原因はよく分かっていませんが、神経細胞を支持し、神経細胞の栄養補給や信号伝達に関与するグリア細胞の中に異常な封入体が存在することが知られています。この封入体はそれぞれ別の疾患として報告されたOPCA、SND、SDSが単一疾患であることを証明した病理学的構造物です。

症 状

運動失調症状(小脳症状)に加えて、下肢が突っ張ったり、筋肉が硬くなって動きが鈍くなったり(パーキンソン症状)、たちくらみが生じたり、排尿がうまくいかなくなる(自律神経症状)といったことがおこります。
OPCAは小脳症状で始まり、経過中にパーキンソン症状や自律神経症状が出現することが多く、SDSは自律神経症状で始まり、経過中に小脳症状やパーキンソン症状が出現することが多い病気です。一方、SNDは薬剤抵抗性のパーキンソン症状が全経過を通じて目立つ病気です。

治 療

パーキンソン症状に対してはL-dopa製剤、ドパミン受容体作動薬が用いられますが、パーキンソン病とは異なり、効果は一時的です。
自律神経症状のうち起立性低血圧に対しては、交感神経を活性化させる交感神経作動薬が用いられます。排尿障害に対してはタイプに応じて違った種類の薬剤を使用しますが、残尿が増加してくると、導尿やカテーテル留置が必要になります。

:小脳症状に対する治療については脊髄小脳変性症の項をご参照下さい。

関連情報
髄膜炎・脳炎

髄膜炎は脳や脊髄をおおっている膜(髄膜)に、細菌やウィルスが感染して炎症がおこる病気です。症状としては、高熱、頭痛、嘔吐が見られます。

また、脳炎は脳実質に炎症がおきる病気で、その原因はウィルスであることがほとんどです。脳炎の症状としては、頭痛、発熱、さらには意識障害やけいれん等、様々な症状が見られます。

診断は、髄液を調べることによりおこないます。診断が確定すれば、すぐに抗生物質や抗ウィルス薬による治療を開始します。また、けいれんがある場合は、けいれんを抑える薬を投与します。炎症の程度によっては後遺症が残ることもありますので(特に脳炎の場合)、できるだけ早く治療を開始することが重要です。

また、言語障害や手足の麻痺などの後遺症が残った場合は、リハビリテーションをおこないます。

関連情報
クロイツフェルト・ヤコブ病

脳にプリオン蛋白と呼ばれる異常な蛋白質が蓄積し、神経細胞の機能が侵される病気です。発症率は年間100万人に1人程度で、平均発症年齢は63歳と、比較的高齢な方に多い病気です。

症状は、性格変化、異常行動、歩行障害などで始まり、数ヶ月で痴呆が急速に進行します。また病気の進行と共に、ミオクローヌスと呼ばれる震えが見られるようになります。診断は、症状、病状の経過、髄液検査、MRI、脳波といった検査を総合的におこないます。

残念ながら治療法はなく、発症後1~2年以内に全身衰弱、肺炎などで亡くなります。患者さんの硬膜、角膜を移植されることによりヤコブ病が感染することが知られています。また、英国などヨーロッパでは狂牛病の牛の肉を食べたことにより、ヤコブ病に感染したと考えられる例が報告されています。

認知症

年をとると「もの忘れ」をして困るという経験は、どなたにもあるかと思います。多くの場合あまり心配いりませんが、「もの忘れ」がだんだんひどくなるようでしたら認知症の始まりである可能性があります。

認知症をきたす病気は多数ありますが、中高年の方が認知症状を呈した場合、まず「アルツハイマー型認知症」あるいは「脳血管性認知症」にかかっている可能性を考える必要があります。認知症をきたす病気の中で、この2つの病気が最も多いからです。日常生活上の注意点や治療薬の種類が異なりますので、まず診断を受けることが重要です。

診断は、神経学的診察、心理検査、頭部MRI、脳血流シンチグラフィーなどで行ないます。

上記の2つの病気ほど多くはありませんが、認知症をきたす病気の中には、脳外科的手術で症状の改善が期待できる病気もあります。「正常圧水頭症」や「慢性硬膜下血腫」などがそれに該当します。これらの病気は脳の画像検査(CTやMRI)で容易に診断できます。手術が必要な場合には脳外科医に紹介します。その他、「甲状腺機能低下症」のように内科疾患が原因で知的機能が低下することがあります。「甲状腺機能低下症」では甲状腺ホルモン製剤を補充(お薬を服用)することにより、認知症症状などは改善します。

関連情報
神経ベーチェット病

ベーチェット病は再発性の口腔内アフタ性潰瘍、皮膚症状、眼症状、陰部潰瘍、関節炎、消化器症状などを伴う、全身の小血管炎を主病変とする原因不明の病気です。神経ベーチェット病はそれらの全身症状の他に、頭痛、吐き気、めまい、ろれつがまわりにくい、手足の麻痺、排尿障害などの神経症状を伴います。

神経症状は全身症状のあとにおこることが多いですが、まれに神経症状が先に発症することもあります。血液検査、髄液検査、MRI検査が必要で、一般的にステロイド治療が行われます。

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis; ALS)

運動神経が侵され、神経が支配する骨格筋や舌筋の萎縮と脱力が症状として表れます。侵される運動神経によって手足の脱力、言葉がしゃべりにくい(構音障害)、飲み込みにくい(嚥下障害)、息苦しい(呼吸困難)等の症状が見られ、しびれ(感覚障害)や尿がでにくい(排尿障害)はなく、目の動きがいい(眼球運動障害がない)のが特徴です。

一部の家族性の場合を除き多くは孤発性で遺伝しません。どうして運動神経のみが侵されるのか、原因は何かについては未だ解明されておりません。

治療薬は抗グルタミン酸作用を有するリルゾール(リルテック)だけです。この薬剤はグルタミン酸が神経毒性を有し、リルゾールが神経系におけるグルタミン酸放出の抑制とグルタミン酸に対する神経保護作用の両方を持っていることから治療薬として使われています。
患者さんとのコミュニケーションをどのようにして行うか、栄養補給や呼吸困難に対してどのように対処するかが重要で、症状に応じた治療内容をご本人やご家族と一緒に相談しながら一番良い方法をとるのが大切で、当院では病状に応じた対応を看護部と一緒に検討しています。

関連情報
重症筋無力症(myasthenia gravis: MG)

運動神経が筋肉と接する場所を神経筋接合部と言いますが、この神経と筋肉の接合する部位の異常によって、瞼が下がる(眼瞼下垂)、物が二重に見える(複視)、しゃべりにくい・飲み込みにくい(球症状)、手足の筋の脱力やすぐに疲れて力がはいらない(易疲労)といった症状が出ます。しびれ(感覚障害)や尿が出にくい(排尿障害)ことはありません。

神経筋接合部にあるアセチルコリン受容体に対する自己抗体が多くの場合この病気を引き起こし、免疫性神経疾患に分類されています。免疫に関連する胸腺の異常(胸腺腫や胸腺肥大)が多くの場合に見られ、外科的に胸腺や胸腺腫を摘出する手術が勧められます。

抗コリンエステラーゼ剤が症状改善の目的で使われますが、手術適応がない場合や手術後に症状の改善が思わしくない場合は、免疫抑制剤が使われます。どの薬をどれくらいの量を使うかは、各患者さんによって異なり、副作用が問題にならないかを見ながら慎重に行います。薬物の減量の仕方に“コツ”があり、ゆっくりと減量した方が安定した病状が期待されます。

当院には筋無力症の診断やこれらの薬物の使用方法等に経験豊富な専門医がいますので是非相談してください。

関連情報
末梢神経障害

末梢神経障害は手足の運動神経や知覚神経が障害され、手足の筋力低下やしびれをきたす病態です。末梢神経障害をおこす病気には、慢性炎症性脱髄性多発神経炎やギラン・バレー症候群といった免疫異常が関与する疾患や、糖尿病などの全身の病気に合併する場合、血管炎や感染による神経障害、遺伝性の疾患等があります。

慢性炎症性脱髄性多発神経炎

手足のしびれや脱力がおこり、数ヶ月にわたり慢性に進行する病気で、寛解、再燃を繰り返す場合もあります。末梢神経伝導速度が遅くなることが特徴で、治療としてγグロブリン大量療法、血漿交換療法、ステロイド治療があります。

ギラン・バレー症候群

急に手足の筋力低下がおこり進行する病気で、多くの場合症状が出現する1~3週間前に感冒症状や下痢などの症状を認めます。手足の筋力低下以外に、軽い手足のしびれや顔面の麻痺、不整脈や血圧の変動などの自律神経障害がみられることもあります。

症状の進行はおよそ1~2週間でピークをむかえそれ以降徐々に回復しますが、重症の場合は手足が全く動かなくなったり、呼吸筋が麻痺し補助呼吸が必要となる方もおられます。末梢神経伝導速度の異常があり、治療としてγグロブリン大量療法、血漿交換療法があります。

関連情報
進行性筋ジストロフィー症

身体を動かす筋肉に変性、壊死がおこり、筋力低下と筋肉の萎縮が進行していく遺伝性の病気の総称です。症状と遺伝形式が異なる多くの疾患が含まれています。

血液、筋電図、遺伝子検査や筋肉生検などから診断します。根本的治療は現在のところなく、研究が進められています。適切なリハビリテーションによる関節の拘縮や変形の予防、補装具による生活能力の改善などをおこないます。心臓や呼吸機能に問題があればそれらに対する治療が必要となります。

多発性筋炎

筋肉に炎症がおこる病気で、自己免疫疾患と考えられています。手足や体幹の筋力の低下と筋肉痛が生じます。

まず、血液検査、筋電図などの検査をおこないます。筋肉生検で、筋肉に炎症細胞があれば診断が確定します。他の膠原病、悪性腫瘍、間質性肺炎を合併することもあるため、血中の自己抗体、胸部のレントゲンやCT、腹部の超音波検査もおこないます。

ほとんどの場合、副腎皮質ステロイドホルモンの内服が有効です。難治例、重症例では、免疫抑制剤を使うこともあります。ステロイドホルモンや免疫抑制剤の治療期間は長期になりますので、副作用に注意をはらう必要があります。当院ではリウマチ科の医師と連携をとりながら、診断と治療にあたっています。