国立病院機構|宇多野病院|関西脳神経筋センター

病気について知りたい > 高齢者がよく生きるためのQ&A 

患者さまとご家族の方へ

神経内科

高齢者がよく生きるためのQ&A

アポトーシスってなに?

メタボリックシンドロームの指標

アポとは突然という意味です。プトーシスとは落ちる、下がるという意味です。秋になるとモミジは紅葉し突然ヒラヒラと落下します。桜の葉も黄色から赤くなって突然風に吹かれて舞い落ちます。アポトーシスです。気温が急激に下がると、モミジの葉の細胞には「自殺せよ。」という指令がDNAにインプットされていて、葉の色を変える蛋白が新たに作られて散るようになっています。予定された細胞の死の形がアポトーシスです。

血管が閉塞し、酸素やブドウ糖が枯渇してその閉塞した血管からの栄養で生きていた細胞は、細胞膜が破れて死んでいきます。これは壊死、ネクローシスという死の形で、マクロファージという掃除屋の貧食細胞が壊れた細胞の残りかすを食べてくれますが、アポトーシスの場合は核が小さくなり断片化しますが細胞膜は破れず、小さくなって見えなくなります。

母親の子宮の中で胎児が大きくなるとき、細胞は大量に増殖しその数を調節しますが、その時もアポトーシスで調節します。例えば手足。キャッチャーミットのような手の原型が指と指の間の細胞がアポトーシスでなくなり、普通のミットのような手へと成長します。シナプスを形成できなかった神経細胞がアポトーシスで死んでいくという話は発生のところで述べました。

予定された細胞死を遂げることで組織は維持されています。常に今ある状態を維持するために、新しく増殖した細胞の数だけアポトーシスで死んでいきます。その秩序が乱れると、つまり増殖細胞がアポトーシスの数を上回ると癌です。皮膚の細胞は4-5層の平べったい扁平細胞が並び、一番下の基底細胞層の細胞が増殖し徐々に上へと移動して一番上にくるとアポトーシスをおこし、ケラチン:垢となって去っていきます。見た目はそっくりですが、今ある皮膚の細胞は1ヶ月前の細胞ではないのです。そのような眼で自分の体を観察したとき、驚き感動し生命の神秘を感じます。

死と再生。落葉樹はアポトーシスがあって初めて新芽を出し生命を維持しています。
人類にとって個人の死は予定されていることなのです。

ページトップへ