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神経内科

高齢者がよく生きるためのQ&A

手術で治る認知症について教えて下さい。

正常圧水頭症といって脳脊髄液の吸収が悪くなり脳室拡大(水頭症)、見当識障害(今日は何月何日でここはどこか、私は誰か?)、歩行障害、尿失禁といった症状が出る病気です。認知症と同じ記憶障害があるために認知症だろうとされている場合があります。

CT検査で脳室拡大が明らかで、専門医が見ると年齢の割に脳の溝が見えにくい等で診断がつきます。手術が有効かどうかは入院して髄液を20mlほど抜いて、症状が改善するかどうかをみるタップテストを行います。数日以内に歩行障害がよくなれば手術が有効です。手術は脳室とおなかの中を細いシリコンチューブでつないで、おなかの中の腸間膜で脳脊髄液を吸収させるものです。全身麻酔で手術時間は30-45分ですみます。

脳脊髄液は脳室内の脈絡叢というところで産生されクモ膜下腔を循環し、脳のてっぺん(高位円蓋部)のクモ膜顆粒で吸収されて静脈から心臓へいたり、血液循環に入ります。 この髄液吸収の部位は他に脳室上衣、脈絡叢、脊髄クモ膜下腔などでも行われ、現在までよくわかっていません。話題の脳脊髄液減少症の病態とも関連して興味のあるところです。

正常圧水頭症の原因として頭部外傷、髄膜炎などで高位円蓋部のクモ膜顆粒での吸収が悪くなったためと考えられています。

ただ手術すれば認知症が治ると思って安易に手術はすべきではありません。つまり認知症に正常圧水頭症を合併するケースもあるからです。手術をして歩行障害がよくなったけれども徘徊が容易になり、転倒・骨折の危険性が増すこともあります。さらにシャント圧が低く設定されたために脳の膨らみ以上に髄液が吸収されて、慢性硬膜下血腫を合併することもあります。主治医とよく相談して納得の上で手術に踏み切られた方が良いでしょう。

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