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神経内科

高齢者がよく生きるためのQ&A

自律神経とは?

例えば、あなたがゴールキーパーで、ペナルティキックを止めなければならない、絶体絶命の危機に直面したとしましょう。眼をかっと見開き、キッカーの眼、軸足を観察します。心臓はドキドキパクパク拍動し、鳥肌が立ち、汗がにじんでいます。全身の筋肉は爆発寸前の状態で合図を待っています。
自律神経とは、今までの状態を維持して、なんとかこの危機を突破しようとする、人間のもつ本能のようなものです。ワクワクする戦略を想像する一方で、ビクビクする危機意識に襲われ、その危機が乗り切れた時には報酬が与えられます。交感神経と副交感神経がバランスをとって働きます。
自律神経の中枢は、視床下部にあります。視床下部前方刺激は副交感神経を反応させ、後方と側方は交感神経を反応させます。図に示すように、網膜と視神経は、視床下部が伸びたもので、目の玉を両手で押さえると、視床下部の前方刺激となり、副交感神経が反応して、脈が遅くなります。これをアシュネル試験と呼びます。相手の眼を見つめると、眼の奥の視床下部を見ているのだということになります。視床下部は心であり、眼はその心を表しています。
自律神経は、視床下部に始まり、脳幹、脊髄へと下行し、胸髄T1から腰髄L2,3まで行きます。そこから脊髄の外へ出て、交感神経は傍脊椎神経節でシナプスし、副交感神経はシナプスせずに、目的器官でシナプスします。シナプスするとは、神経細胞を代えるという意味です。つまり、副交感神経は特急で、交感神経は各駅停車のようなものです。自律神経系は1)脳神経(III,VII,IX,X,XI) 2)胸腰髄(Th1-12,L1,2) 3)仙髄(S2,3,4)の3つの系から成り、交感神経は1,2,3すべてにありますが、副交感神経は1と3しかありません。腸管が動くのはX:迷走神経が働いているからで、脳幹から左結腸曲まで副交感神経が伸びているからです。
まだまだ分かっていないのが、自律神経です。例えば、足裏の人差し指を曲げて出來る線の終点を押さえると、腸管が動きますが、そのメカニズムははっきりしません。私の患者さんで脊髄空洞症の男性は、排尿困難がありますが、腹部の異常感覚(血管収縮と発汗過多)が起こると排尿ができます。むち打ちの患者さんは、自分の意思の力で、私に鳥肌を作って見せることが可能です。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れている状態を「自律神経失調」と言います。バレ・リウ症候群とは、椎骨動脈周囲の神経叢(後頚部交感神経系)の興奮状態のため、後頭部痛、めまい、耳鳴、動悸、不安などの自覚症状を来たすもので、原因として、外傷性頚部症候群(所謂鞭打ち)や頚部手術後などが挙げられます。頚筋の過緊張でも起こります。バレ・リウ症候群の確定診断として、前頚部頚動脈周囲にある、星状神経節をキシロカインで麻酔すると、交感神経の興奮が抑えられ、症状が一時的に消えます。星状神経節ブロックで症状が一時的に消える場合は、バレ・リウ症候群である可能性があります。バレ・リウ症候群では、交感神経が副交感神経よりも優位にあるために、頭痛、めまい、耳鳴、動悸、不安が起こっていて、一時的に交感神経の興奮を抑えつければ,副交感神経優位になるので、症状が軽くなるのです。
副交感神経の働きが悪い場合、平滑筋の麻痺が起こり、腸管蠕動が低下し、歩くと前へ前へと突進します。血管運動麻痺が起こり、血管拡張、起立性低血圧あるいは性的不能が起こってきます。汗をかかなくなり、毛髪が消失、皮膚が萎縮、爪の発育が不良となります。多系統萎縮やパーキンソン病で見られる症状です。
自律神経のバランスが崩れているのではないか、と悩まれている方は、脳外科「自律神経外来」へ一度受診して下さい。

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